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分院開設の確認事項

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医療法人が分院を開設する場合、開設が決定した後、まず次の項目について確認と検討が必要です。

本稿では、分院開設の確認事項について実務的な観点から解説します。

クリニックの名称と所在地

クリニックの名称

  1. 名称の確認
    – 使用可否を保健所に事前確認
    – 候補名を2~3個用意
    – 保健所担当者名等を記録
    ※ 相談の記録を残しておくことをお勧めします
  2. 法人名の取扱い
    – 医療法人名を頭につける場合
    例:医療法人社団○○会 △△クリニック
    – 法人名なしの場合
    例:△△クリニック
    ※ 保健所に事前確認してください
  3. 表記の注意点
    – 誤解を招く名称は避ける
    – 他の医療機関と紛らわしい名称は不可
    – 診療科目と整合性のある名称
    ※ 事前の確認が重要です
  4. 決定後の対応
    – 定款変更認可申請での使用
    – 保健所への届出
    – 厚生局への届出
    – その他必要な届出

クリニックの所在地

  1. 基本的な確認
    – 賃貸借契約書の記載内容
    – 建物の登記事項証明書
    – 住居表示の確認
    – 部屋番号等の表記
  2. 表記方法
    – ハイフンは使用不可
    例:「東京都○○区△△△1-2-3」
    →「東京都○○区△△△一丁目2番3号」
    – 算用数字と漢数字の使い分け
    – 都道府県による表記ルール
    – 本院の表記との整合性
  3. 住居表示の確認
    – 住居表示実施地域かどうか
    – 表記方法の確認
    – 役所への確認
    ※ 特に新築の場合は注意が必要です
  4. 建物関係
    – オーナーとの関係
    – 管理会社との関係
    – 転貸の場合の対応
    – 原契約の確認

管理者の選任

基本要件

  • 資格要件
    – 医師または歯科医師であること
    – 常勤であること
    – 管理者としての要件を満たすこと
    – 保険医の登録
  • 勤務形態
    – 常勤であること
    – 勤務時間の確保
    – 診療時間との整合性
  • 理事就任
    – 理事就任の必要性
    – 理事定数の確認
    – 就任時期の調整
    – 定款変更の要否
  • その他の要件
    – 医師会入会
    – 学会所属
    – その他必要な資格
    – 必要な研修等

前職との関係

  • 退職時期
    – 前職の退職時期調整
    – 開設時までに退職完了
    – 退職証明書の準備
    – 引継ぎ期間の確保
  • 引継ぎ関係
    – 前職での引継ぎ
    – 保険医登録の異動
    – その他必要な手続き
    – 期間の確保
  • 所属関係
    – 医師会への入会
    – その他団体への加入
    – 必要な届出
    – 手続き期間の確認
  • 保険医登録
    – 登録の異動
    – 新規登録の要否
    – 手続き期間
    – 必要書類

必要書類

  • 基本書類
    – 印鑑証明書
    – 医師免許証の写し
    – 臨床研修修了登録証
    ※ 発行後3ヶ月以内の印鑑証明書が必要です
    – 履歴書
  • 追加書類等
    – 住民票その他都道府県が求める書類
    – 原本証明の要否
  • 保険医関係
    – 保険医登録票
    – 異動届
    – その他必要書類
    – 手続き期限
  • その他
    – 学会認定証
    – 専門医証
    – その他資格証
    – 必要に応じた書類

分院開設資金

必要資金の試算

  • 基本的な経費
    – 内装工事費
    – 医療機器購入費
    – 保証金等
    – 運転資金(2ヶ月分)
  • 具体的な見積り
    – 工事業者からの見積り
    – 医療機器の見積り
    – 賃貸借契約の条件確認
    – その他必要経費
  • 準備書類
    – 見積書
    – 工事計画書
    – 設備配置図
    – 資金計画書
  • その他経費
    – 人件費
    – 広告宣伝費
    – 開設準備費
    – 予備費

資金調達方法

  • 内部留保での対応
    – 決算書類の確認
    – 勘定科目内訳書の準備
    – 現預金残高の確認
    – 資金移動計画
  • 借入による調達
    – 金融機関からの借入
    – 理事長からの借入
    – 借入に関する書類準備
    – 返済計画の策定
  • 都道府県への説明
    – 内部留保の資料
    – 借入関係の資料
    – 金銭消費貸借契約書
    – その他必要書類
  • その他の調達
    – 補助金の活用
    – 助成金の確認
    – その他の資金調達
    – 必要書類の確認

施設基準の確認

建物関係

  • 面積要件
    – 診察室:9.9㎡以上
    – 待合室:3.3㎡以上
    – その他必要面積
    – 保健所の確認
  • 構造設備
    – 防火区画
    – 階段・廊下幅
    – 非常口
    – バリアフリー対応
  • 衛生設備
    – 手洗い設備
    – 消毒設備
    – 医療廃棄物保管場所
    – その他必要設備
  • その他の設備
    – 空調設備
    – 電気設備
    – 給排水設備
    – 消防設備

人員体制

  • 必要な職種
    – 医師(常勤・非常勤)
    – 看護師
    – 医療事務職員
    – その他必要な職種
  • 雇用条件
    – 就業規則の整備
    – 給与体系の設定
    – 福利厚生の整備
    – 労務管理体制
  • 社会保険関係
    – 健康保険・厚生年金保険
    – 雇用保険
    – 労災保険
    – 手続きスケジュール
  • 採用計画
    – 募集時期
    – 面接日程
    – 研修期間
    – 勤務開始日

実務上の注意点

事前確認の重要性

  • 関係機関への確認
    – 都道府県への確認
    – 保健所への確認
    – 厚生局への確認
    – その他必要な確認
  • 要件の確認
    – 施設基準
    – 人員体制
    – 提出書類
    – 期限等
  • 記録の保管
    – 確認内容の記録
    – 担当者名の記録
    – 日時の記録
    – 書類の保管
  • 事前相談
    – 窓口の確認
    – 相談時期の調整
    – 必要書類の確認
    – 回答の記録

スケジュール管理

  1. 全体スケジュール
    – 6~8ヶ月の準備期間
    – 手続きの順序
    – 期限の管理
    – 予備日の設定
  2. 個別スケジュール
    – 工事日程
    – 採用計画
    – 備品調達
    – 開設準備
  3. マイルストーン
    – 定款変更認可
    – 登記完了
    – 保健所許可
    – 開設日
  4. 予備の確保
    – 工事の遅延対応
    – 人員採用の遅れ
    – 書類不備の対応
    – その他トラブル

まとめ

分院開設の確認事項として、特に以下の点に注意が必要です。

  • 早期確認
    – クリニック名称の使用可否
    – 管理者の要件
    – 必要資金の試算
    – 施設基準の確認
  • 要件の確認
    – 施設基準
    – 人員体制
    – 提出書類
    – 期限等
  • スケジュール管理
    – 手続きの期限
    – 工事日程
    – 開設時期
    – 余裕を持った準備

なお、都道府県により要件が異なる場合がありますので、事前に必ず確認しましょう。
特に、提出書類や様式については、管轄する都道府県等に確認するようにしましょう。

また、不明な点がある場合は、早めに相談することで、スムーズな開設が可能となります。

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