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分院開設時の厚生局手続き(施設基準の届出)

必要書類

施設基準の届出は保険診療上の重要な手続きの一つです。
本院と同様の施設基準を取得する場合でも、分院では新たに届出が必要になります。

ここでは、分院開設時の施設基準届出について解説します。

施設基準届出の基本

届出のタイミング

基本的な考え方
  • 届出時期の選択
    – 保険医療機関指定申請と同時
    – 指定後速やかに届出
    – 体制が整い次第順次届出
  • 注意すべきポイント
    – 月の初めからの算定が基本
    – 遡及算定は原則不可
    – 受理後からの算定開始
具体的な期限
  • 通常の場合
    – 毎月15日締切
    – 締切後3~4日で受理
    – 翌月1日から算定開始
  • 開設時の特例
    – 開設日からの算定を希望する場合
    – 事前相談の活用
    – 準備書類の確認

届出前の準備

届出項目の選定
  • 本院との関係
    – 本院の届出状況確認
    – 同様の基準取得の可否
    – 新規取得の検討
  • 要件確認
    – 人員配置要件
    – 施設・設備要件
    – 研修要件
    – 実績要件

基本診療料関連の届出

一般的な届出項目

初・再診料関連
  • 明細書発行体制等加算
    – 届出要件の確認
    – 必要な設備の準備
    – 運用体制の整備
  • 電子的保健医療情報活用加算
    – オンライン資格確認の導入
    – 運用体制の確認
    – 研修実施の記録
外来医療等の基本診療料
  • 外来感染対策向上加算
    – 施設基準の確認
    – 研修記録の準備
    – 届出書類の作成
  • 連携強化加算
    – 連携医療機関との調整
    – 契約書の準備
    – 体制の整備

届出書の作成方法

基本的な記載事項
  • 共通事項
    – 医療機関名称
    – 所在地
    – 保険医療機関コード
    – 届出年月日
  • 基準固有の事項
    – 人員配置状況
    – 設備の状況
    – 研修実績
    – 算定実績
添付書類の準備
  • 人員関係
    – 勤務実績表
    – 研修修了証
    – 雇用契約書
    – 勤務形態一覧表
  • 設備関係
    – 配置図
    – 写真
    – 仕様書
    – 保守契約書

特掲診療料関連の届出

主な届出項目

医学管理等
  • 療養・指導関連
    – 糖尿病透析予防指導管理料
    – ニコチン依存症管理料
    – 薬剤総合評価調整管理料
  • 在宅医療関連
    – 在宅時医学総合管理料
    – 在宅がん医療総合診療料
    – 在宅患者訪問診療料
検査・画像診断
  • 検査関連
    – 遺伝学的検査
    – 時間内歩行試験
    – 胎児心エコー法
  • 画像診断関連
    – CT撮影及びMRI撮影
    – コンピューター断層診断
    – 画像診断管理加算

届出書作成のポイント

記載上の注意
  • 基本事項
    – 正確な情報記載
    – 必要事項の漏れ防止
    – 記載内容の整合性
  • 添付書類
    – 必要書類の確認
    – 原本と写しの区別
    – 必要部数の確認
よくある不備
  • 記載関連
    – 記載漏れ
    – 押印漏れ
    – 日付の誤り
  • 添付書類関連
    – 書類不足
    – 証明書の期限切れ
    – 内容の不一致

届出書類の作成実務

作成の手順

事前準備
  • 情報収集
    – 要件の確認
    – 様式の入手
    – 記載例の確認
  • 必要書類の洗い出し
    – 届出書本体
    – 添付書類リスト
    – 証明書類
    – 契約書類
作成手順
  • 下書き作成
    – 記載内容の確認
    – 関係者との調整
    – 不明点の確認
  • 清書・最終確認
    – 記載内容の確認
    – 押印の確認
    – コピーの作成

届出後の管理

書類の管理
  • 原本管理
    – ファイリング方法
    – 保管場所
    – アクセス権限
  • データ管理
    – 電子化の方法
    – バックアップ
    – 更新管理
要件の遵守
  • 定期的な確認
    – 人員配置の確認
    – 設備の点検
    – 研修実施状況
  • 記録の管理
    – 実績の記録
    – 研修記録
    – 会議記録

主な施設基準の要件

基本診療料関連

外来感染対策向上加算
  • 施設基準
    – 担当者の配置
    – 研修の実施
    – マニュアルの整備
    – 院内研修の実施
  • 運用上の注意点
    – 定期的な研修実施
    – 記録の保管
    – 連携体制の維持
    – 実績の記録
オンライン資格確認関連
  • 基本要件
    – システムの導入
    – 運用体制の整備
    – 職員研修の実施
  • 具体的な対応
    – 機器の設置
    – マニュアルの整備
    – 職員教育の実施

特掲診療料関連

在宅医療関連
  • 基本要件
    – 24時間対応体制
    – 医療機器の整備
    – 緊急時対応体制
  • 具体的な準備
    – 当番体制の整備
    – 連絡網の整備
    – マニュアルの作成
検査・画像診断関連
  • 設備要件
    – 機器の設置
    – 安全管理体制
    – 保守管理体制
  • 人員要件
    – 専門医の配置
    – 技師の配置
    – 研修の実施

届出後の対応

算定開始の準備

院内体制の整備
  • 運用ルールの策定
    – 算定要件の確認
    – 運用手順の作成
    – チェックリストの作成
  • スタッフ教育
    – 説明会の実施
    – マニュアルの配布
    – 質疑応答の実施
システム対応
  • マスター設定
    – 施設基準の登録
    – 算定条件の設定
    – チェック機能の設定
  • 運用確認
    – テスト入力
    – 出力確認
    – エラー対応

継続的な管理

定期的な確認
  • 要件遵守の確認
    – 人員配置の確認
    – 設備の点検
    – 研修実施状況
  • 実績管理
    – 算定件数の管理
    – 要件の充足状況
    – 記録の保管
変更時の対応
  • 変更届の準備
    – 変更内容の確認
    – 必要書類の準備
    – 提出時期の確認
  • 届出の手続き
    – 書類の作成
    – 提出方法の確認
    – フォローアップ

まとめ

施設基準の届出は、以下の点に特に注意を払いましょう。

  1. 届出時期を適切に選択し、計画的に準備を進める
  2. 要件を十分に確認し、確実に充足できる体制を整える
  3. 届出書類は正確に作成し、不備のないよう確認する
  4. 届出後も継続的な管理を行い、要件を遵守する
  5. 変更が生じた場合は速やかに対応する

なお、本稿で説明した内容は一般的な例です。実際の届出にあたっては、必ず管轄の厚生局に確認するようにしましょう。

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事務所代表・記事監修
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中村 弥生(なかむら やよい)

渋谷区の医療法人の事務長として、総務・経理・各種手続き業務を統括。
退職後、税理士事務所勤務を経て、2006年に行政書士事務所を開業。以来、医療法人専門の行政書士事務所として業務を行っている。
現在、行政書士向けに「医療法人の行政手続き実務講座」を開講中。
2025年1月、書籍「はじめてでもミスしない いちばんわかりやすい医療法人の行政手続き」を出版。

【実績】 医療法人の設立100件以上、定款変更300件以上。保健所、厚生局手続き300件以上。役員変更や決算届出等2,000件以上。

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