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【2026年4月改正】保険医療機関の管理者要件が厳格化

投稿日:2026年2月10日

― 経過措置・2029年問題・実務上の注意点を行政書士が解説 ―


2026年4月から「保険医療機関の管理者要件」が変わります

2025年12月5日に成立した改正健康保険法等により、2026年4月1日から、保険医療機関(診療所・病院)の管理者(院長)要件が見直され、従来よりも厳格化される予定です

これから新規開業を検討されている医師の方、医療法人の経営者・理事長の方にとって、管理者要件の該当可否は、開業計画や事業承継計画に直結する重要なポイントとなります。

本記事では、現時点で公表されている法令・通知等をもとに、制度の概要と実務上の注意点を分かりやすく解説します。


保険医療機関の管理者要件の見直し概要

新たな管理者要件(医科・予定)

2026年4月1日以降、保険医療機関の管理者となるためには、原則として以下の要件をすべて満たすことが求められる予定です

管理者に求められる主な要件

  1. 保険医であること
  2. 2年間の臨床研修を修了していること
  3. 臨床研修修了後、病院において保険医として3年以上診療に従事した経験があること

必要とされる経験年数の目安

  • 合計 5年以上(臨床研修2年+病院勤務3年)

歯科における取扱い

  • 臨床研修1年+保険医療機関での診療経験3年以上

※歯科の場合、診療所での経験が認められる可能性がありますが、最終的な取扱いは今後公表予定の厚生労働省ガイドラインで明確化される見込みです

根拠法令

  • 健康保険法 第70条の2(2026年4月1日施行予定)
  • 保険医療機関及び保険医療養担当規則(いわゆる療担規則)

経過措置について(重要)

すべての医師が直ちに新要件の影響を受けるわけではありません。現時点では、以下のような経過措置が設けられる予定です。

経過措置①:2026年4月時点ですでに管理者である医師

  • 2026年4月1日時点で管理者に就任している医師は、2029年3月31日まで、新要件を満たしていなくても引き続き管理者として在任できる見込みです。

注意点

  • 原則として同一の保険医療機関に限られます
  • 2029年4月1日以降も管理者を継続する場合は、その時点で新要件を満たす必要があります
  • 法人内異動・分院長就任等の取扱いは、今後のガイドラインで整理される予定です

経過措置②:既に臨床研修を修了している医師

2026年4月1日時点で既に臨床研修を修了している医師については、一定の条件のもと、病院勤務経験が必須とならない可能性があります

想定される対象例

  • 2019年度以前に臨床研修を開始した医師
  • 保険医療機関(診療所を含む)で3年以上の保険診療経験がある医師

※診療以外の管理・運営業務の取扱いについては、今後のガイドラインで具体的に示される見込みです。


原則として新要件が適用される医師

2020年度以降に臨床研修を開始した医師については、原則として病院における3年以上の診療経験が求められる見込みです。

  • 2020年4月 臨床研修開始
  • 2022年3月 臨床研修修了

→ 経過措置の適用可否は、ガイドラインに基づき個別に判断されることになります。


例外的な取扱い(特例の可能性)

以下のようなケースでは、病院での3年経験がなくても、例外的に管理者として認められる可能性があります。

想定される例

  • 地域枠・自治医科大学卒業で義務年限中の医師
  • 専門医資格を有する医師
  • 保険者立病院等での診療経験がある医師
  • 矯正医官・自衛隊医官等として長期間勤務した医師
  • 管理者の急逝等、やむを得ない事情がある場合

※これらの特例は自動的に適用されるものではなく、厚生局による個別判断となる可能性があります


いわゆる「2029年問題」とは

何が問題となるのか

2026年4月時点で管理者である医師であっても、2029年4月1日以降は新要件への適合が求められます

想定される対応

  • 新要件を満たす(病院勤務経験を積む等)
  • 新要件を満たす別の医師に管理者を交代する

実務上の影響

  • 診療所勤務が中心のキャリアを歩んできた院長にとって、要件充足が困難となるケース
  • 医療法人において、要件を満たす後継管理者が確保できないリスク

今後のガイドラインや運用次第で柔軟な取扱いが示される可能性もありますが、早めの検討が重要です


実務上のチェックポイント

新規開業を検討中の医師の方へ

  • 臨床研修開始年度の確認
  • 病院での保険診療経験年数の確認
  • 開業時期の再検討の必要性

承継開業を検討中の医師の方へ

  • 承継予定医師の管理者要件該当性
  • 承継時期と経過措置の関係

医療法人の経営者の方へ

  • 現管理者の経過措置期限(2029年3月末)
  • 後継管理者候補の育成・確保
  • M&A・事業承継時のデューデリジェンス対応

今後のスケジュール(予定)

  • 2025年度中(2026年3月末まで):厚生労働省ガイドライン公表予定
  • 2026年4月1日:改正法施行
  • 2029年3月31日:経過措置期限
  • 2029年4月1日以降:原則として新要件が全面適用

当事務所からのアドバイス

管理者要件は、医師一人ひとりのキャリアによって判断が大きく異なります

  • 自分は管理者要件を満たすのか
  • 今後どのような対応が必要か
  • 2029年以降も診療所を継続できるのか

このような疑問がある場合は、早めに専門家へご相談されることをお勧めします。

※本記事は、2026年2月5日時点で公表されている法令・通知等に基づき作成しています。今後公表されるガイドラインや運用通知により、取扱いが変更される可能性があります。

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