HOME医療法人 行政手続きブログ > 医療法人の多店舗展開 ポイント5:事業承継の受け皿としての機能

医療法人の多店舗展開 ポイント5:事業承継の受け皿としての機能

医療法人の多店舗展開:事業承継で地域医療を守り、効率的な成長を実現

開業医の高齢化と後継者不足により、地域で長年親しまれてきたクリニックが閉院を余儀なくされるケースが増えています。

多店舗展開する医療法人は、こうしたクリニックを承継して分院として存続させる「事業承継の受け皿」としての機能を果たすことができます。

本稿では、承継による拠点拡大の意義とメリットを解説します。

地域医療を守る承継の意義

閉院危機にあるクリニックの存続

後継者が見つからないまま院長が引退時期を迎えると、患者は通い慣れたかかりつけ医を失うことになります。
医療法人が承継の受け皿となれば、診療所と患者のつながりを守り、地域の医療資源を次世代に引き継ぐことができます。
これは法人にしかできない重要な社会貢献です。

引退を考える院長への選択肢の提供

承継先があることは、引退を考える院長にとっても大きな安心です。
患者と職員を託せる相手が見つかれば、円満な形で診療人生の幕を引くことができます。
地域の医師会等との信頼関係を築いている法人には、こうした承継の相談が寄せられやすくなります。

職員の雇用の継続

閉院すれば職場を失うはずだった看護師や事務職員の雇用を、承継によって守ることができます。
経験ある職員をそのまま迎え入れることは、法人にとっても即戦力の確保となり、双方にとって望ましい承継が実現します。

承継による拠点拡大のメリット

患者基盤を引き継ぐ効率的な展開

新規開設の分院は患者ゼロからのスタートですが、承継であれば既存の患者基盤をそのまま引き継ぐことができます。
開設当初から一定の診療収入が見込めるため、投資回収の見通しが立てやすく、リスクを抑えた拠点拡大が可能となります。

立地・設備・許認可の活用

長年診療を続けてきたクリニックは、実績のある立地と診療に必要な設備を備えています。
これらを活用することで、新規開設に比べて初期投資を抑えられる場合が多くあります。
承継の形態に応じて必要な手続きを適切に行えば、スムーズな診療の引き継ぎが可能です。

M&A・第三者承継市場の活用

近年、クリニックのM&A・第三者承継の仲介市場が発達し、承継案件の情報を得やすくなっています。
展開エリアや診療科の方針に合致する案件を継続的に検討する体制を持つことで、承継を計画的な成長戦略として位置づけることができます。

承継を成功させるためのポイント

丁寧な引き継ぎによる患者の定着

承継後の患者離れを防ぐには、前院長からの丁寧な引き継ぎが重要です。
一定期間の並走診療や患者への事前案内など、信頼関係を引き継ぎプロセスを設計することで、患者の定着率を高めることができます。

デューデリジェンスと条件調整

承継にあたっては、財務状況、設備の状態、職員の労働条件、許認可の状況などを事前に精査し、適正な承継条件を設定することが大切です。
専門家によるデューデリジェンスを活用することで、安心して承継を進めることができます。

まとめ

多店舗展開する医療法人は、後継者不在のクリニックを承継することで、地域の医療資源と雇用を守りながら、患者基盤を引き継いだ効率的な拠点拡大を実現できます。地域と法人の双方にメリットのある、意義深い成長の形といえます。

承継には、法人の定款変更や行政手続き、契約条件の調整など専門的な検討事項が多くあります。承継による拠点拡大をお考えの際は、医療機関の承継に精通した専門家に早めにご相談されることをお勧めします。

事務所情報
大岡山行政書士事務所の室内
大岡山行政書士事務所
〒145-0062 東京都大田区北千束3-20-8 スターバレーⅡ 402
【電 話】03-5499-3251(月~金 9:00~21:00)
【FAX】03-5539-4020
【メール】お問い合わせはフォームからお願いします(24時間対応)
事務所代表・記事監修
中村弥生の写真
中村 弥生(なかむら やよい)

渋谷区の医療法人の事務長として、総務・経理・各種手続き業務を統括。
退職後、税理士事務所勤務を経て、2006年に行政書士事務所を開業。以来、医療法人専門の行政書士事務所として業務を行っている。
行政書士向けに「医療法人の行政手続き実務講座」を開講。
2025年1月、書籍「はじめてでもミスしない いちばんわかりやすい医療法人の行政手続き」を出版。

【実績】 医療法人の設立100件以上、定款変更300件以上。保健所、厚生局手続き300件以上。役員変更や決算届出等2,000件以上。

ご相談はこちらから

ページの先頭へ