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医療法人の多店舗展開 ポイント3:勤務医のキャリアパス提供と医師定着

多店舗展開が鍵!医師に選ばれ、定着する医療法人の作り方

クリニックを運営する医療法人にとって、意欲ある医師の採用と定着は最重要の経営課題の一つです。

多店舗展開は、分院長というポストを生み出すことで、勤務医に対して診療技術の向上にとどまらない魅力的なキャリアパスを提示できる点に大きな特長があります。

本稿では、多店舗展開が医師の採用・定着に果たす役割を解説します。

分院長ポストが生み出すキャリアの魅力

経営に参画する機会の提供

勤務医の中には、いずれは自ら組織を運営したいと考える医師が少なくありません。
分院長というポストは、開業のリスクを負うことなく、診療所の運営責任者として経営を経験できる貴重な機会です。
診療に加えてマネジメントに携わることで、医師としての活躍の幅が大きく広がります。

開業志向の医師の受け皿

独立開業を考える医師にとって、資金調達や事務負担は大きなハードルです。
法人の分院長であれば、開業資金の負担なく院長として診療所を任され、経営管理は本部のサポートを受けられます。
「雇われる」と「開業する」の中間に位置する働き方として、開業志向の医師にも魅力的な選択肢となります。

段階的なステップアップの設計

勤務医から副院長、分院長・法人の理事へと、段階的なキャリアパスを制度として示すことができます。
将来の展望が明確であれば、医師は腰を据えて法人での勤務に取り組むことができ、長期的な定着につながります。

医師採用力の強化

採用市場での訴求力向上

複数拠点を展開する法人は、勤務地の選択肢、多様な診療経験、分院長への登用可能性など、単独クリニックにはない力を採用活動で訴求できます。
医師採用が年々難しくなる中、キャリアパスを提示できることは採用競争における大きな強みとなります。

多様な働き方への対応

複数拠点があれば、常勤・非常勤の組み合わせ、勤務地の希望、子育てや介護と両立できる勤務形態など、医師のライフステージに応じた柔軟な働き方を提供しやすくなります。
働きやすさは、採用だけでなく定着の面でも重要な要素です。

法人の成長性が与える安心感

拠点を増やし成長を続ける法人は、医師にとって将来性のある職場と映ります。
組織の成長とともに自らの役割も広がっていくという期待感は、優秀な人材を引きつける力となります。

医師定着を支える環境整備

診療に専念できる本部サポート

経理、労務、採用などの管理業務を本部が担うことで、分院長は診療と現場マネジメントに専念できます。
事務負担の軽減は、医師の働きがいと定着に直結する重要なサポートです。

医師同士の交流と研鑽の機会

定例の院長会議や症例検討会など、法人内の医師が交流する場を設けることで、孤立しがちなクリニック医師に研鑽と相談の機会を提供できます。
仲間とともに成長できる環境は、法人で働き続ける動機となります。

まとめ

多店舗展開は、分院長というポストを通じて勤務医に魅力的なキャリアパスを提供し、医師の採用力と定着率を高める効果があります。医師確保が経営の生命線であるクリニックにとって、これは多店舗展開の大きな意義の一つです。

キャリアパスを実効性あるものにするためには、分院長の処遇設計や権限の明確化など、制度面の整備が欠かせません。医師が長く活躍できる組織づくりについて、専門家を交えて早めに検討されることをお勧めします。

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中村 弥生(なかむら やよい)

渋谷区の医療法人の事務長として、総務・経理・各種手続き業務を統括。
退職後、税理士事務所勤務を経て、2006年に行政書士事務所を開業。以来、医療法人専門の行政書士事務所として業務を行っている。
行政書士向けに「医療法人の行政手続き実務講座」を開講。
2025年1月、書籍「はじめてでもミスしない いちばんわかりやすい医療法人の行政手続き」を出版。

【実績】 医療法人の設立100件以上、定款変更300件以上。保健所、厚生局手続き300件以上。役員変更や決算届出等2,000件以上。

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