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患者さんのために選ぶ事業譲渡:診療継続が地域医療に与える真の価値

地域医療のイメージ

クリニック経営者必見!廃業より医療法人等への事業譲渡を選ぶべき8つの理由

理由3. 地域医療体制の維持

医師として最も大切にすべきは患者さんの健康と安心です。
クリニックの将来を考える際、廃業という選択肢もありますが、事業譲渡により診療を継続することで、患者さんと地域医療に計り知れない価値をもたらすことができます。
今回は、事業譲渡が患者さんと地域医療に与える具体的なメリットについて詳しく解説します。

患者さんの治療継続性の確保

慢性疾患患者への配慮

糖尿病、高血圧、慢性腎臓病などの慢性疾患を抱える患者さんにとって、かかりつけ医との継続的な関係は治療効果に直結します。

長年の診療により蓄積された病歴データ、薬剤アレルギー情報、治療に対する反応パターンなどの貴重な医療情報が、事業譲渡により新しい医師に引き継がれます。

例えば、インスリン療法を行っている糖尿病患者の場合、血糖値の変動パターンや生活習慣との関連性を把握している医師が継続して診療することで、より精密な血糖管理が可能になります。

廃業により治療が中断されると、新しい医療機関で一から関係性を築く必要があり、治療効果の低下や患者さんの不安増大につながります。

精神的安定の提供

多くの患者さんにとって、かかりつけ医は単なる医療提供者ではなく、健康相談や生活指導を受ける信頼できるパートナーです。

特に高齢者にとって、長年通い慣れたクリニックでの診療継続は、精神的な安定感と安心感をもたらします。

服薬管理の継続性

複数の薬剤を服用している患者さんの場合、薬剤相互作用や副作用のモニタリングが重要です。

過去の処方歴や副作用経験を熟知している医師が診療を継続することで、より安全で効果的な薬物療法を提供できます。

地域医療アクセスの維持

医療過疎地域での重要性

地方や医療過疎地域では、クリニック一つが地域住民の健康を支える重要な役割を担っています。
廃業により医療機関が減少すると、住民は遠方の医療機関まで通院する必要が生じ、特に高齢者や交通手段が限られた方にとって大きな負担となります。

事業譲渡により診療が継続されることで、地域の医療アクセスを維持し、住民の健康を守ることができます。
これは単に医療サービスの提供にとどまらず、地域コミュニティの結束力維持にも貢献します。

救急医療体制への影響

クリニックは地域の救急医療体制の一翼を担っています。

夜間診療や休日診療、軽症患者の初期対応など、地域の医療ネットワークの重要な構成要素です。
診療継続により、これらの機能を維持できます。

予防医療の継続

定期健診・検診事業

多くのクリニックが実施している定期健診や各種検診事業は、疾病の早期発見・早期治療につながる重要な予防医療活動です。

事業譲渡により、これらの活動を継続することで、地域住民の健康増進に長期的に貢献できます。

健康教育・啓発活動

生活習慣病予防のための健康教室や栄養指導、禁煙指導などの啓発活動も、継続的に実施することで効果を発揮します。

地域住民との信頼関係に基づいた健康教育は、行政主導の活動では得られない高い効果が期待できます。

医療の質の向上

ノウハウの継承

長年の診療経験により培われた診断技術や治療ノウハウを新しい医師に継承することで、地域医療の質を維持・向上させることができます。

特に、地域特有の疾患パターンや住民の健康問題に関する知見は、経験の継承なしには失われてしまう貴重な資産です。

医療機器の有効活用

高額な医療機器を継続使用することで、地域住民により高度な医療サービスを提供できます。

MRIやCT、内視鏡設備などは、新規導入には多額の費用がかかるため、既存設備の活用は地域医療の質向上に大きく貢献します。

医療連携の維持

病診連携の継続

地域の基幹病院との連携関係を維持することで、患者さんの紹介・逆紹介システムを継続できます。

これにより、適切な医療機関での治療を受ける機会を患者さんに提供し続けることができます。

多職種連携の推進

薬局、訪問看護ステーション、介護施設などとの連携関係も、事業譲渡により継続されます。

特に在宅医療や介護との連携は、高齢化社会における重要な医療サービスです。

社会的責任の履行

医師としての使命

医師法第1条には「医師は、医療及び保健指導を掌ることによって公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする」と定められています。

事業譲渡による診療継続は、この医師としての社会的使命を次世代に引き継ぐ行為と言えます。

地域社会への恩返し

長年にわたり地域住民に支えられてきたクリニックとして、医療サービスの継続という形で地域社会に恩返しをすることができます。

これは、地域との絆を大切にする医師としての責任の表れでもあります。

患者満足度の維持・向上

事業譲渡により新しい医師が加わることで、診療時間の拡大や新しい医療サービスの導入など、患者満足度のさらなる向上が期待できる場合もあります。

既存の患者基盤を基礎として、より充実した医療サービスを提供することが可能になります。

まとめ

クリニックの事業譲渡は、単なるビジネス上の判断を超えた、患者さんと地域医療への深い愛情と責任感の表れです。
診療の継続により、患者さんの健康と安心を守り、地域医療体制を維持し、医療の質を向上させることができます。

医師として築き上げてきた患者さんとの信頼関係や地域との絆を次世代に引き継ぐことは、最も意義深い選択の一つと言えるでしょう。

事業譲渡を検討される際は、これらの社会的価値も十分に考慮し、患者さんと地域のための最善の選択をしていただきたいと思います。

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中村 弥生(なかむら やよい)

渋谷区の医療法人の事務長として、総務・経理・各種手続き業務を統括。
退職後、税理士事務所勤務を経て、2006年に行政書士事務所を開業。以来、医療法人専門の行政書士事務所として業務を行っている。
行政書士向けに「医療法人の行政手続き実務講座」を開講。
2025年1月、書籍「はじめてでもミスしない いちばんわかりやすい医療法人の行政手続き」を出版。

【実績】 医療法人の設立100件以上、定款変更300件以上。保健所、厚生局手続き300件以上。役員変更や決算届出等2,000件以上。

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