分院開設の保健所手続き(提出するもの・様式、必要部数)

分院開設の際の保健所手続きでは、多くの書類を提出する必要があります。
本稿では、提出が必要な書類と様式、そして必要部数について、実務的な観点から解説していきます。
なお、保健所によって異なりますので、事前の確認が必要です。
以下では一般的な例を解説しています。
書類の準備の基本的な考え方
必要部数について
保健所の手続き書類は、原則として4セットの準備が必要です。
- 保健所提出用(正本)
- 法人控え用
- 業者への提出用予備
- 厚生局提出用
医療法人以外の方(行政書士など)が手続きを行う場合は、さらに1セット(5セット目)を用意します。
セット作成時の注意点
原本と写しの使い分け
- 正本には原本または原本証明付きの写しを添付
- その他のセットには写しを添付
収受印の取扱い
- 法人控え用には必ず収受印をもらう
- 他のセットは写しで対応可能
書類の整理方法
- インデックスやページ番号を付ける
- 書類の順番を統一する
- クリアファイルやフラットファイルで管理
診療所開設許可申請
診療所開設許可申請書
基本情報の記載事項
- 開設者の情報(医療法人名、所在地、理事長名)
- 診療所の名称
- 開設場所
- 診療科目
- 開設予定年月日
記載上の注意点
- 定款の記載と完全に一致させる
- 住所表記は登記と一致させる
- 電話番号は未定でも申請可能
添付書類
法人関係書類
- 定款(変更後のもの)
– 原本証明が必要な場合あり
– 全ページを添付 - 法人の登記事項証明書
– 発行後3ヶ月以内のもの
– 分院追加後の内容が反映されたもの
建物関係書類
- 土地・建物の登記事項証明書
– テナントの場合は建物のみで可の場合も多い。
– 発行後3ヶ月以内のもの - 賃貸借契約書
– 全ページの写しが必要
– 付随する覚書等も含む
– 原本確認が必要な場合あり - 平面図
– 各室の面積記載が必要
– 縮尺100分の1以上
– 室名と用途の明記 - エックス線装置関係書類(設置する場合)
– 放射線防護図
– 機器の仕様書
– 設置届出書
その他の添付書類
- 案内図
– 最寄駅からのアクセス
– 周辺の目標となる建物 - 敷地周囲の見取図
– 建物の配置関係
– 道路との関係
実地検査関連書類
検査前の準備書類
院内掲示物
- 管理者名の掲示
– 管理者の氏名
– 診療科目 - 診療日時の掲示
– 診療可能な日時
– 休診日 - 診療に従事する医師の掲示
– 医師名
– 担当診療科目
– 診療日時
各種規程類
- 医療安全管理指針
- 院内感染防止指針
- 医療機器保守管理規程
- 個人情報保護規程
検査時の提示書類
原本確認書類
- 医師免許証
- 臨床研修修了登録証
- 賃貸借契約書
- 各種届出済書類
設備関係書類
診療所開設届
診療所開設届出書
記載事項
- 許可番号
- 開設年月日
- 管理者情報
- 診療日時
- 従事者情報
注意点
- 許可申請時の内容と整合性を確保
- 実態に即した情報を記載
- 変更がある場合は事前相談
添付書類
管理者関係書類
- 医師免許証の写し
– 原本提示が必要
– 裏書がある場合は、両面コピー - 臨床研修修了登録証の写し
– 該当者のみ
– 原本提示が必要 - 履歴書
– 写真添付(必要な場合)
– 押印(必要な場合)
従事者関係書類
- 医療従事者の免許証写し
– 看護師
– 薬剤師
– その他の医療職 - 勤務形態一覧
– 常勤・非常勤の別
– 勤務時間
– 担当業務
書類作成時の実務上の注意点
共通の注意事項
記載内容の整合性
- 定款との整合性
- 登記との整合性
- 各申請書類間の整合性
書類の体裁
- 用紙サイズの統一
- 両面・片面の統一
- 綴じ方の指定確認
作成の手順
下書き作成
- 記載内容の確認
– 必要事項の漏れチェック
– 記載方法の確認 - 関係者による確認
– 管理者の確認
– 理事長の確認
清書作成
- 正本の作成
– 原本添付
– 押印(必要な場合) - 写しの作成
– 必要部数のコピー
– 原本証明(必要な場合)
書類管理のポイント
提出前の確認
- チェックリストの活用
- 必要部数の確認
- 原本の確認
控えの保管
- ファイリングの徹底
- データでの保存
- 原本の適切な管理
保健所ごとの対応の違い
確認が必要な事項
様式の違い
- 所定様式の有無
- 記載方法の違い
- 必要な添付書類の違い
提出方法の違い
- 窓口提出の要否
- 郵送可否の確認
- 予約の要否
事前確認のポイント
確認事項
- 受付時間
- 担当者の有無
- 提出時の注意点
確認方法
- 電話での問い合わせ
- ホームページの確認
- 窓口での相談
まとめ
保健所への提出書類は多岐にわたり、その準備には十分な時間と注意が必要です。
特に以下の点に注意して準備を進めましょう。
- 必要部数を最初に確認し、計画的に準備する
- 各書類の記載内容の整合性を確保する
- 原本と写しの使い分けを適切に行う
- 保健所ごとの要件の違いに注意する
なお、本稿で説明した内容は一般的な例です。実際の手続きでは、管轄の保健所に必ず確認するようにしましょう。
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