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医療法人買収の競争戦略:特色ある診療による差別化優位性の継承①

特色ある診療による差別化優位性の継承①

既存クリニック買収の10大メリット⑩-1

医療法人が事業譲渡により既存クリニックを買収する際の重要な戦略的価値の一つが、前院長が長年かけて築いてきた専門性や特色ある診療内容の継承です。

地域内での独自のポジションと競合優位性を即座に獲得できることで、新規開設では実現困難な差別化戦略を展開し、持続的な競争優位性を確保することができます。

医療における差別化の重要性

競争激化する医療市場

現代の医療業界は、診療所数の増加、医師の専門分化、患者の医療機関選択眼の向上により、激しい競争環境にあります。

同一診療科内での競合激化

同一診療科の医療機関が同一地域に複数存在することが一般的になり、単純な内科や整形外科といった一般的な診療だけでは差別化が困難になっています。

患者の専門性への期待

医療情報のインターネット普及により、患者の医療知識が向上し、より専門性の高い医療機関を求める傾向が強くなっています。

医療技術の標準化

基本的な医療技術が標準化される中で、単純な技術提供だけでは競合他院との差別化が困難になっています。

差別化による競争優位性

患者の選択理由の明確化

特色ある診療内容により、患者が「なぜその医療機関を選ぶのか」という明確な理由を提供でき、患者獲得と維持において有利になります。

紹介患者の増加

専門性や特色が明確な医療機関は、他の医療機関からの紹介患者を獲得しやすく、安定した患者確保が可能になります。

診療報酬の優位性

専門性の高い診療や特殊な技術には、一般的な診療よりも高い診療報酬が設定されており、収益性の向上が期待できます。

継承可能な専門性と特色

診療科目別の専門性

内科系の専門分野

  • 糖尿病専門外来:血糖値管理の専門的ノウハウと患者教育プログラム
  • 循環器専門診療:心電図解読技術と心疾患管理の専門知識
  • 消化器内視鏡:内視鏡検査・治療の技術と設備
  • 腎臓病専門外来:慢性腎臓病の進行抑制と透析導入タイミングの専門判断

外科系の専門分野

  • 日帰り手術:局所麻酔下での小手術の豊富な経験と技術
  • 創傷処置:難治性創傷の治療技術と創傷ケア用品の知識
  • 関節注射:関節内注射の技術と適応判断の専門性

その他の専門分野

  • 小児科アレルギー:食物アレルギーや喘息の専門的管理
  • 皮膚科美容診療:保険外診療を含む美容皮膚科の技術
  • 精神科カウンセリング:心理療法の専門技術と豊富な経験

地域特性に応じた特色

産業医療への特化

地域の主要産業に関連した職業病の診断・治療や健康管理について豊富な経験を持つクリニックでは、企業からの信頼と継続的な契約を期待できます。

スポーツ医学への特化

地域のスポーツクラブや学校との連携により、スポーツ外傷・障害の診断・治療に特化した診療体制を構築している場合があります。

高齢者医療への特化

高齢化率の高い地域では、認知症診療、嚥下障害、フレイル対策など、高齢者特有の医療ニーズに特化した診療内容が差別化要因となります。

専門性継承の具体的価値

技術・ノウハウの継承

診断技術の継承

長年の経験により培われた診断技術は、書籍や論文では学べない実践的な価値があります。

治療プロトコールの活用

効果的な治療プロトコールや投薬パターンなど、実証済みの治療方法を即座に活用できます。

患者管理システムの継承

慢性疾患患者の長期管理方法や、病状変化の早期発見システムなど、実績に基づく管理ノウハウを継承できます。

患者・地域からの信頼継承

専門医としての地位

「○○の専門医といえばあの先生」という地域での評価と信頼を引き継ぐことができます。

紹介ネットワークの継承

他の医療機関からの紹介患者を継続的に受け入れる信頼関係を継承できます。

患者の専門知識への信頼

患者が抱く「専門的で高度な医療を受けられる」という信頼感を継承できます。

差別化戦略の発展

既存専門性の深化

最新技術の導入

継承した専門分野において、最新の医療技術や治療法を導入することで、さらなる差別化を図ることができます。

診療ガイドラインの積極的活用

専門学会の診療ガイドラインを積極的に取り入れ、エビデンスに基づいた最新の診療を提供します。

症例数の増加による技術向上

専門分野での症例数増加により、さらなる技術向上と診療の質向上を実現できます。

関連分野への展開

専門性の横展開

既存の専門分野に関連する新しい診療領域への展開により、包括的な専門医療を提供できます。

多職種連携の強化

専門的な診療に必要な他職種(栄養士、理学療法士、臨床心理士など)との連携を強化し、より包括的なケアを提供します。

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事務所代表・記事監修
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中村 弥生(なかむら やよい)

渋谷区の医療法人の事務長として、総務・経理・各種手続き業務を統括。
退職後、税理士事務所勤務を経て、2006年に行政書士事務所を開業。以来、医療法人専門の行政書士事務所として業務を行っている。
行政書士向けに「医療法人の行政手続き実務講座」を開講。
2025年1月、書籍「はじめてでもミスしない いちばんわかりやすい医療法人の行政手続き」を出版。

【実績】 医療法人の設立100件以上、定款変更300件以上。保健所、厚生局手続き300件以上。役員変更や決算届出等2,000件以上。

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