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医療法人買収の経済効果:設備投資軽減による資本効率の最大化②

設備投資軽減による資本効率の最大化②

既存クリニック買収の10大メリット⑥-2

この記事は、続きとなります。

前の記事は「設備投資軽減による資本効率の最大化①」こちらから閲覧できます。

設備の残存価値評価

適正な資産評価

買収対象となる医療機器の適正な価値評価が重要です。

減価償却後の帳簿価格

会計上の帳簿価格と実際の使用価値や市場価値との差異を正確に把握し、買収価格に適切に反映させる必要があります。

実用的な残存耐用年数

機器の製造年月日、使用時間、メンテナンス履歴などから、実際にあと何年間使用可能かを評価します。
この評価により、将来の設備更新計画も立てやすくなります。

技術的陳腐化の評価

現在の医療水準と比較して、既存機器の技術レベルや診療上の有用性を評価し、継続使用の妥当性を判断します。

保守・更新計画の策定

段階的更新戦略

すべての設備を即座に更新する必要はないため、収益状況や診療ニーズに応じて段階的な設備更新計画を策定できます。

リース活用の検討

将来の設備更新時には、購入に加えてリースやレンタルなど多様な調達方法を検討でき、資金繰りの柔軟性を確保できます。

設備統合によるシナジー効果

法人全体での設備効率化

共通機器の統一

複数クリニックを運営する医療法人では、機器の機種統一により保守費用の削減や操作研修の効率化が図れます。

高額機器の共同利用

特に高額な検査機器については、複数のクリニック間での共同利用により、稼働率向上と投資効率の最大化を実現できます。

専門性の向上

特化した設備構成

既存の設備構成を活かして、特定の診療分野に特化したクリニックとして発展させることで、地域での専門性を高められます。

差別化戦略の実現

高度な医療機器を活用した差別化サービスにより、競合他院との差別化を図り、患者満足度と収益性の向上を同時に実現できます。

設備投資軽減のリスクと対策

潜在的リスクの把握

隠れた故障リスク

外見上は正常に見える機器でも、内部的な劣化により突然故障するリスクがあります。
買収前の詳細な機器点検が重要です。

保守契約の継承問題

既存の保守契約が新所有者に引き継がれない場合、修理費用が高額になるリスクがあります。
事前の契約確認と継承手続きが必要です。

リスク軽減策

専門家による機器査定

医療機器の専門家や技術者による詳細な査定を実施し、機器の状態と残存価値を正確に評価します。

保証制度の活用

買収契約において、一定期間内の機器故障に関する売主保証を設定し、予期しない修理費用のリスクを軽減します。

投資効率の最大化戦略

ROI(投資利益率)の向上

設備投資軽減により、投資全体のROIが大幅に向上します。

投資回収期間の短縮

初期投資額の削減により、投資回収期間を2-3年短縮できる可能性があります。
これにより、早期の利益確保と次の投資機会への資金捻出が可能になります。

事業拡張への資金確保

設備投資軽減により確保した資金を、人材採用や新規サービス開発、マーケティング活動などの事業拡張に活用でき、持続的な成長を実現できます。

まとめ

既存クリニックの買収による医療機器・設備投資の軽減効果は、医療法人の資本効率向上において極めて重要な要素です。

数千万円から億単位の投資削減効果により、投資回収期間の短縮、資金調達負担の軽減、事業拡張資金の確保など、多面的なメリットを享受できます。

ただし、設備の状態評価や将来の更新計画など、専門的な検討も必要です。
適切な評価と計画により、この設備投資軽減効果を最大限に活用し、持続的な成長基盤を構築することが可能になるでしょう。

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中村 弥生(なかむら やよい)

渋谷区の医療法人の事務長として、総務・経理・各種手続き業務を統括。
退職後、税理士事務所勤務を経て、2006年に行政書士事務所を開業。以来、医療法人専門の行政書士事務所として業務を行っている。
行政書士向けに「医療法人の行政手続き実務講座」を開講。
2025年1月、書籍「はじめてでもミスしない いちばんわかりやすい医療法人の行政手続き」を出版。

【実績】 医療法人の設立100件以上、定款変更300件以上。保健所、厚生局手続き300件以上。役員変更や決算届出等2,000件以上。

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