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医療法人の買収戦略:即戦力人材とノウハウ獲得の圧倒的メリット

即戦力となる人材とノウハウの獲得

既存クリニック買収の10大メリット①

医療法人が既存クリニックを事業譲渡により買収する際の最大のメリットの一つが、即戦力となる人材とノウハウの獲得です。

新規開設では一から構築しなければならない人的資源と運営システムを、買収により短期間で確保できることは、事業拡大において計り知れない価値があります。

人材確保の困難さと買収による解決

現在の医療業界における人材不足

医療業界は慢性的な人材不足に悩まされています。
特に看護師や医療事務スタッフの確保は年々困難になっており、厚生労働省の調査によると、看護師の離職率は約11%と高い水準を維持しています。

また、経験豊富な医療従事者の確保はさらに困難で、新規開設時には即戦力となる人材の採用に数ヶ月から1年以上を要することも珍しくありません。

買収により得られる人材の価値

既存クリニックの買収では、長年その医療機関で働いてきた経験豊富なスタッフをそのまま引き継ぐことができます。
これらの人材は単なる労働力ではなく、以下のような貴重な資産を持っています。

患者との信頼関係

長年同じ医療機関で働いてきたスタッフは、患者との深い信頼関係を築いています。
この信頼関係は新しい経営陣にとって、患者の継続受診を確保する重要な要素となります。

患者にとって馴染みのあるスタッフが継続して勤務することで、経営者変更による不安を軽減し、患者離れを防ぐことができます。

地域特性の理解

地域の医療ニーズや患者の傾向、季節的な疾患の変動など、その地域特有の医療事情を熟知しています。
この知識は新規参入者が一から学習するには長い時間が必要な貴重な情報です。

ノウハウ獲得の具体的メリット

診療プロセスの継承

既存クリニックでは、長年の運営を通じて効率的な診療プロセスが確立されています。
予約管理システムの運用方法、患者対応のマニュアル、検査手順の標準化など、日々の業務を円滑に進めるためのノウハウが蓄積されています。

電子カルテシステムの活用ノウハウ

電子カルテの導入と運用には相当な時間と労力が必要ですが、既存スタッフはシステムの操作に習熟しており、効率的な記録方法や検索テクニックなどを身につけています。
この操作スキルの継承により、システム稼働初期によくある非効率な運用期間を回避できます。

医療機器の操作技術

CT、MRI、エコー検査機器など、高度な医療機器の操作には専門的な技術と経験が必要です。
熟練した放射線技師や臨床検査技師の技術は、機器の性能を最大限に引き出し、質の高い検査結果を提供するために不可欠です。

経営管理ノウハウの継承

医療機関の経営には、診療以外にも多岐にわたる管理業務があります。

診療報酬請求の専門知識

複雑な診療報酬制度に精通したスタッフの存在は、医療法人にとって極めて重要です。
適切な算定により収益を最大化し、返戻や査定を最小限に抑える技術は、長年の経験によって培われるものです。

在庫管理と業者との関係

医薬品や医療材料の適切な在庫管理、信頼できる業者との関係維持など、効率的な医療機関運営に必要なノウハウも引き継がれます。

スタッフ定着率向上の戦略

買収時の人材流出防止

買収に伴う人材流出は大きなリスクです。
これを防ぐためには、買収前からスタッフとのコミュニケーションを密にし、雇用継続への不安を解消することが重要です。

労働条件の維持・改善

既存スタッフの労働条件を維持または改善することで、安心して働き続けられる環境を提供します。
給与体系の見直しや福利厚生の充実により、むしろ働きやすい環境になったと感じてもらうことが理想的です。

キャリアアップ機会の提供

医療法人グループとして多店舗展開している場合、スタッフにとって新たなキャリアパスが開かれます。
他院での研修機会や昇進の可能性を示すことで、長期的なモチベーション維持を図れます。

新規採用コストとの比較

新規開設時の人材採用には、求人広告費、面接にかかる時間、研修期間中の人件費など、多額のコストが発生します。
特に専門性の高い医療職の場合、適切な人材を見つけるまでに長期間を要することがあります。

採用にかかる時間とコスト

研修期間の短縮効果

既存スタッフは医療機関の業務に習熟しているため、新たな研修期間が大幅に短縮されます。
この時間短縮により、早期からフル稼働体制を構築でき、収益化までの期間を短縮できます。

まとめ

既存クリニックの買収による人材とノウハウの獲得は、単なるコスト削減を超えた戦略的価値があります。

経験豊富なスタッフの継続雇用により、患者満足度の維持、効率的な医療提供体制の確保、そして安定した事業運営の基盤を一度に手に入れることができます。

医療法人の多店舗展開戦略において、この人的資源の価値を適切に評価し、活用することが成功の鍵となるでしょう。

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中村 弥生(なかむら やよい)

渋谷区の医療法人の事務長として、総務・経理・各種手続き業務を統括。
退職後、税理士事務所勤務を経て、2006年に行政書士事務所を開業。以来、医療法人専門の行政書士事務所として業務を行っている。
行政書士向けに「医療法人の行政手続き実務講座」を開講。
2025年1月、書籍「はじめてでもミスしない いちばんわかりやすい医療法人の行政手続き」を出版。

【実績】 医療法人の設立100件以上、定款変更300件以上。保健所、厚生局手続き300件以上。役員変更や決算届出等2,000件以上。

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