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医療法人買収の収益基盤:保険医療機関指定の遡及と診療報酬継続性③

保険医療機関指定の遡及と診療報酬継続性③

既存クリニック買収の10大メリット⑧-3

この記事は、続きとなります。

前の記事は「保険医療機関指定の遡及と診療報酬継続性②」こちらから閲覧できます。

新規取得との比較優位性

時間的優位性

即時算定開始

新規開設では施設基準取得まで数ヶ月を要しますが、買収では初日から算定開始できます。
この時間的優位性により、早期の収益最大化が可能になります。

実績要件のクリア済み

症例数や実施件数などの実績要件をすでにクリアしている状態のため、継続的な算定が保証されています。

コスト優位性

取得費用の削減

施設基準取得のための設備投資、人員確保、書類作成、申請手続きなどにかかる費用を削減できます。
特に設備要件のある施設基準では、数百万円から数千万円の投資が不要になります。

機会損失の回避

取得準備期間中の算定機会損失を回避できます。
月額数十万円から数百万円の算定機会を失うことなく、即座に収益化できます。

施設基準継承時の注意点

継承可能性の確認

人員要件の継続性

施設基準に必要な有資格者や研修修了者が買収後も継続勤務するかを確認し、必要に応じて新たな人員確保計画を立てる必要があります。

設備要件の維持

必要な医療機器や設備が適切に維持管理されており、基準を満たし続けているかを詳細に確認します。

更新手続きの承継

更新期限の管理

各施設基準の更新期限を正確に把握し、適切な更新手続きを継続する体制を確保します。

変更届出の適切な実施

開設者変更に伴う各種変更届出を適切に実施し、施設基準の効力を維持します。

将来的な施設基準戦略

新規基準への対応

制度改正への適応

診療報酬改定により新設される施設基準に対して、既存の基盤を活用して効率的に対応できます。

段階的な基準追加

収益向上のため、段階的に新しい施設基準の取得を計画し、継続的な収益改善を図ります。

グループ内での効率化

共通基準の統一

医療法人グループ内で共通する施設基準については、取得・更新手続きの効率化や情報共有により、管理コストの削減を図れます。

専門性の集約

特定の専門性を要する施設基準については、グループ内の特定クリニックに集約することで、効率的な運営体制を構築できます。

収益最大化戦略

算定機会の最大化

適正な算定体制

施設基準を満たしている検査や処置について、算定漏れがないよう適正な算定体制を確保します。

患者への説明充実

院内で実施可能な検査や処置について患者に適切に説明し、外部委託を減らして院内実施率を向上させます。

効率的な運営体制

業務フローの最適化

施設基準に基づく業務フローを最適化し、効率的な診療体制を構築します。

職員教育の充実

施設基準に関する職員教育を充実させ、適正な運用体制を維持します。

まとめ

既存クリニックの買収による診療報酬の継続性確保は、医療法人の収益基盤強化において極めて重要な戦略的価値を持ちます。

複雑で取得困難な施設基準を即座に継承することで、開業初日から高い収益性を確保し、安定した事業運営基盤を構築できます。

年間数千万円規模の増収効果をもたらす場合もある診療報酬の継続性を適切に活用することで、投資効率の最大化と持続的な成長を実現できるでしょう。

医療制度の複雑性を逆手に取った、極めて実践的で効果的な成長戦略といえます。

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事務所代表・記事監修
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中村 弥生(なかむら やよい)

渋谷区の医療法人の事務長として、総務・経理・各種手続き業務を統括。
退職後、税理士事務所勤務を経て、2006年に行政書士事務所を開業。以来、医療法人専門の行政書士事務所として業務を行っている。
行政書士向けに「医療法人の行政手続き実務講座」を開講。
2025年1月、書籍「はじめてでもミスしない いちばんわかりやすい医療法人の行政手続き」を出版。

【実績】 医療法人の設立100件以上、定款変更300件以上。保健所、厚生局手続き300件以上。役員変更や決算届出等2,000件以上。

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