医療法人買収の収益基盤:保険医療機関指定の遡及と診療報酬継続性②

既存クリニック買収の10大メリット⑧-2
この記事は、続きとなります。
前の記事は「保険医療機関指定の遡及と診療報酬継続性①」こちらから閲覧できます。
施設基準継承による収益最大化
即座の高収益体制確立
既存クリニックの買収により、以下のような高収益体制を即座に確立できます。
かかりつけ医機能に係る届出
機能強化加算、地域包括診療加算、認知症地域包括診療加算など、かかりつけ医機能に関する届出を継承することで、初日から加算算定が可能になります。
慢性疾患管理に関する加算
糖尿病透析予防指導管理料、生活習慣病管理料、特定疾患療養管理料など、慢性疾患管理に関する施設基準を引き継ぐことで、安定した継続収益を確保できます。
在宅医療体制の継承
在宅医療に関する各種施設基準と既存の在宅患者基盤を同時に継承することで、高収益な在宅医療事業を即座に開始できます。
専門性の高い診療報酬算定
専門外来に関する施設基準
心臓ペースメーカー指導管理料、在宅酸素療法指導管理料、人工腎臓など、専門的な医療技術に関する施設基準の継承により、高い技術料を算定できます。
検査・画像診断の算定体制
超音波検査、心電図検査、眼底検査など、各種検査に関する施設基準を継承することで、外注費用の削減と院内実施による診療報酬増額の両方の効果を得られます。
収益機会損失の定量的分析
新規開設時の損失試算
保険診療開始遅延による損失
新規開設で保険医療機関指定まで2ヶ月要した場合の機会損失を試算します。
- 月間患者数1,000人の診療所の場合
- 1人あたり平均診療費8,000円(保険適用時)
- 自費診療での平均費用15,000円
- 患者数減少率:保険適用時の30%(受診控えによる)
損失計算例
- 保険適用時月間収益:1,000人 × 8,000円 = 800万円
- 自費診療時月間収益:300人 × 15,000円 = 450万円
- 月間機会損失:800万円 – 450万円 = 350万円
- 2ヶ月間の総損失:350万円 × 2ヶ月 = 700万円
買収による損失回避効果
買収により700万円の機会損失を完全に回避でき、この効果だけでも買収プレミアムの一部を相殺できます。
患者基盤維持の経済効果
受診控え防止効果
保険適用により患者の受診控えを防ぐことで、既存患者基盤を完全に維持できます。
一度失った患者を再獲得するには、新患獲得の3-5倍のコストがかかるとされており、患者維持の経済効果は極めて大きくなります。
施設基準継承の追加価値
診療科目別の継承効果(試算)
保険医療機関指定の基盤の上に、さらなる収益向上をもたらす施設基準の継承効果があります。
内科系診療所の場合
- 機能強化加算:年間約360万円の増収効果
- 生活習慣病管理料:患者100人で年間約480万円
- 在宅時医学総合管理料:患者30人で年間約1,800万円 合計増収効果:年間約2,640万円
整形外科診療所の場合
- 運動器リハビリテーション料:年間約1,200万円
- 神経学的検査:年間約240万円
- 骨密度検査:年間約180万円 合計増収効果:年間約1,620万円
眼科診療所の場合
- 眼底検査:年間約600万円
- 視野検査:年間約480万円
- コンタクトレンズ検査料:年間約360万円 合計増収効果:年間約1,440万円
継続的な収益安定性
予測可能な収益モデル
施設基準に基づく診療報酬は、診療報酬改定時以外は基本的に安定しており、中長期的な収益予測が可能です。この安定性により、事業計画の精度が向上し、投資判断も行いやすくなります。
患者満足度の向上効果
院内で完結できる検査や処置が増えることで、患者の利便性が向上し、満足度向上につながります。これにより、患者の継続受診率向上と口コミによる新患獲得効果も期待できます。
施設基準管理の専門性
複雑な制度への対応
診療報酬改定への対応
2年に1度の診療報酬改定に際して、施設基準の要件変更や新設された基準への対応が必要です。
既存クリニックでは、これらの制度変更への対応ノウハウが蓄積されています。
実地指導への対応
社会保険事務局による実地指導において、施設基準の適正な運用状況を説明する必要があります。
継承したクリニックでは、過去の実地指導対応経験というノウハウも活用できます。
専門職員の継承
診療報酬専門事務員
複雑な診療報酬算定に精通した医療事務員の継承により、適正な算定と査定・返戻の最小化を実現できます。
この専門知識は、収益最大化において極めて重要な要素です。
施設基準管理責任者
各種施設基準の要件管理、更新手続き、実績報告などを適切に管理できる専門職員の継承により、施設基準の維持管理体制を確保できます。
