HOME医療法人 行政手続きブログ > 医療法人買収の連携価値:既存ネットワークによる包括的医療体制の確立②

医療法人買収の連携価値:既存ネットワークによる包括的医療体制の確立②

既存ネットワークによる包括的医療体制の確立②

既存クリニック買収の10大メリット⑨-2

この記事は、続きとなります。

前の記事は「既存ネットワークによる包括的医療体制の確立①」こちらから閲覧できます。

地域包括ケアにおける連携価値

介護・福祉機関との連携

居宅介護支援事業所との連携

ケアマネジャーとの連携により、要介護認定者の医療・介護両面でのサポート体制を構築できます。

地域包括支援センターとの協働

高齢者の総合相談窓口である地域包括支援センターとの連携により、予防医療から介護予防まで幅広いサービス提供が可能です。

訪問看護ステーションとの連携

在宅医療を提供する際の訪問看護ステーションとの連携体制により、24時間体制での在宅医療サポートが可能になります。

行政機関との関係

保健所との連携

感染症対策、健康増進事業、各種検診事業における保健所との連携関係を継承できます。

市町村との協力体制

健康診断事業、予防接種事業、学校保健などの市町村事業への参画体制を引き継げます。

連携情報システムの活用

電子化された連携基盤

地域医療連携システムの利用権

地域で運用されている医療連携システムの利用権を継承することで、診療情報の共有や画像データの参照が可能になります。

電子処方箋システムの連携

調剤薬局との電子処方箋システム連携により、処方から調剤までの効率化と誤薬防止を実現できます。

遠隔医療ネットワーク

専門医との遠隔相談システムや画像診断支援システムなど、ICTを活用した医療連携基盤を活用できます。

データ共有による診療の質向上

診療情報の継続性

患者の診療情報が連携先と適切に共有されることで、重複検査の回避や薬剤の相互作用チェック、アレルギー情報の共有などが可能になります。

クリニカルパスの共有

標準的な診療手順やクリニカルパスを連携先と共有することで、一貫性のある質の高い医療を提供できます。

連携関係の維持・発展戦略

既存関係の強化

定期的な連携会議

連携先との定期的な症例検討会や連携会議を通じて、関係の維持・強化を図ります。

紹介患者のフォローアップ

紹介した患者の経過について適切にフォローアップし、紹介先からの信頼を維持・向上させます。

診療情報提供の充実

紹介状や診療情報提供書の内容を充実させ、連携先での診療に役立つ情報を適切に提供します。

新規連携先の開拓

専門分野の拡充

診療内容の拡充に合わせて、新たな専門分野の連携先を開拓し、患者により幅広い医療選択肢を提供します。

地域外への連携拡大

特殊な疾患や高度な治療が必要な場合には、地域外の専門医療機関との連携も検討し、患者の利益を最優先とした医療提供を行います。

連携の質的向上

標準化とプロトコール化

連携プロトコールの確立

各連携先との間で、紹介基準、情報提供方法、フォローアップ体制などを標準化し、効率的で質の高い連携を実現します。

共通診療ガイドラインの活用

学会ガイドラインや地域で策定された診療プロトコールを連携先と共有し、標準的で質の高い医療を提供します。

患者中心の連携体制

患者満足度の向上

連携先での待ち時間短縮、予約の利便性向上、情報共有の充実などにより、患者の負担軽減と満足度向上を図ります。

インフォームドコンセントの充実

紹介先の選択肢を患者に適切に説明し、患者の価値観や希望に基づいた医療機関選択を支援します。

連携効果の測定と改善

定量的評価指標

紹介率・逆紹介率の管理

適切な紹介率と逆紹介率を維持することで、地域医療連携の一翼を担う医療機関としての役割を果たします。

患者満足度調査

連携先での医療に対する患者満足度を定期的に調査し、連携の質向上に活用します。

連携先からの評価

紹介先医療機関からの評価やフィードバックを定期的に収集し、連携の質向上に努めます。

継続的改善活動

連携業務の効率化

紹介状作成の電子化、予約システムの改善、情報共有方法の最適化などにより、連携業務の効率化を図ります。

職員教育の充実

医療連携に関する職員教育を充実させ、全職員が連携の重要性を理解し、適切な対応ができる体制を構築します。

法的・制度的対応

医療法への適合

地域医療支援病院との連携

地域医療支援病院が求める紹介率基準に適合する連携体制を維持し、地域医療全体の質向上に貢献します。

診療報酬上の連携加算

医療連携に関する診療報酬上の加算を適切に算定し、連携活動の経済的基盤を確保します。

個人情報保護への対応

診療情報共有の適正化

患者の個人情報保護に配慮しながら、必要な診療情報を適切に共有する体制を確保します。

セキュリティ対策の強化

電子的な診療情報共有におけるセキュリティ対策を強化し、情報漏洩リスクを最小限に抑えます。

将来的な連携発展の可能性

ICT活用の拡大

AI診断支援システムの活用

人工知能を活用した診断支援システムを連携先と共同で活用し、診断精度の向上を図ります。

遠隔医療の推進

5G通信技術の普及により、より高品質な遠隔医療連携が可能になり、地理的制約を超えた専門医療の提供が期待されます。

国際連携の可能性

海外医療機関との連携

特殊な疾患や治療法について、海外の専門医療機関との連携により、患者により多くの治療選択肢を提供する可能性があります。

まとめ

既存クリニックの買収による医療連携関係の継承は、単なる業務上の便宜を超えた、地域医療の質向上と患者満足度向上に直結する重要な資産です。

長年にわたって構築された信頼関係と効率的な連携システムを即座に活用できることで、開業初日から高品質で包括的な医療サービスを提供できます。
これらの連携関係を適切に維持・発展させることで、地域医療における中核的な役割を果たし、持続的な成長基盤を構築することができるでしょう。

医療の専門化が進む現代において、この連携ネットワークの価値はますます重要性を増しており、医療法人の競争優位性確保において不可欠な要素となっています。

事務所情報
大岡山行政書士事務所の室内
大岡山行政書士事務所
〒145-0062 東京都大田区北千束3-20-8 スターバレーⅡ 402
【電 話】03-5499-3251(月~金 9:00~21:00)
【FAX】03-5539-4020
【メール】お問い合わせはフォームからお願いします(24時間対応)
事務所代表・記事監修
中村弥生の写真
中村 弥生(なかむら やよい)

渋谷区の医療法人の事務長として、総務・経理・各種手続き業務を統括。
退職後、税理士事務所勤務を経て、2006年に行政書士事務所を開業。以来、医療法人専門の行政書士事務所として業務を行っている。
行政書士向けに「医療法人の行政手続き実務講座」を開講。
2025年1月、書籍「はじめてでもミスしない いちばんわかりやすい医療法人の行政手続き」を出版。

【実績】 医療法人の設立100件以上、定款変更300件以上。保健所、厚生局手続き300件以上。役員変更や決算届出等2,000件以上。

ご相談はこちらから

ページの先頭へ