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医療法人買収の立地戦略:実証済み立地による事業リスクの最小化②

実証済み立地による事業リスクの最小化②

既存クリニック買収の10大メリット⑦-2

この記事は、続きとなります。

前の記事は「実証済み立地による事業リスクの最小化①」こちらから閲覧できます。

物理的条件の最適性確認

医療機関特有の建物要件

医療法適合性の確認済み

既存の医療機関として運営されてきた建物は、医療法で定められた構造基準、設備基準をすべて満たしていることが確認済みです。
新規開設時のような建築基準法や医療法への適合性検討が不要です。

患者動線の実証済み設計

長年の運営により、患者にとって使いやすい動線設計であることが実証されています。
待合室の配置、診療室へのアクセス、バリアフリー対応、プライバシー確保など、実際の使用感に基づいた最適化が図られています。

駐車場確保の十分性

患者の実際の来院手段に基づいて、必要十分な駐車場が確保されていることが実証されています。
特に地方部では自家用車での来院が多いため、適切な駐車場確保は極めて重要です。

周辺環境との調和

近隣住民との良好な関係

長年の運営により、近隣住民との良好な関係が築かれ、医療機関としての存在が地域に受け入れられています。
新規開設時によくある近隣住民からの反対や苦情といった問題を回避できます。

調剤薬局との連携立地

近隣に調剤薬局が適切に配置されており、患者にとって利便性の高い医療提供体制が確立されています。
処方箋を受け取った患者が薬局まで移動する際の利便性も実証済みです。

リスク評価の精度向上

定量的リスク分析

収益変動リスクの把握

過去数年間の月次・年次収益データにより、収益の変動幅とその要因を詳細に分析できます。
季節要因、経済情勢の影響、競合参入の影響など、様々なリスク要因の実際の影響度を定量的に把握できます。

患者離れリスクの評価

過去に競合医療機関が参入した際の患者数への影響や、医師交代時の患者継続率など、具体的なリスクイベントとその影響度を実績ベースで評価できます。

災害リスクの実証評価

自然災害への対応実績

過去の台風、地震、豪雨などの自然災害時における診療継続の可否、患者来院への影響、復旧にかかった期間などの実績データにより、災害リスクを具体的に評価できます。

パンデミック対応実績

新型コロナウイルス感染症流行時の診療体制変更、患者数への影響、感染対策の効果などの実績により、将来的な感染症流行時の対応力を評価できます。

投資効率の最大化

立地価値の適正評価

地価動向との関係性

長期間の運営実績により、地価変動と医療需要の関係性を把握できます。
地価上昇が患者層の変化や医療需要の質的変化にどの程度影響するかを実証データで評価できます。

賃料水準の妥当性

現在の賃料水準が、その立地での医療機関運営に対して適正かどうかを、収益実績から判断できます。
賃料負担率が収益性に与える影響も定量的に評価可能です。

拡張可能性の評価

将来的な拡張余地

建物の構造的な拡張可能性や、診療科目追加時の対応可能性を、実際の建物構造から評価できます。
また、近隣への別棟増設の可能性なども、地域の建築規制と合わせて現実的に検討できます。

サテライト展開の可能性

その立地を拠点とした周辺地域へのサテライトクリニック展開の可能性を、実際の診療圏データから評価できます。
患者の居住分布により、効果的な多店舗展開戦略を立案できます。

立地選定コストの削減

調査・分析費用の節約

市場調査費用の削減

新規立地選定時に必要な人口動態調査、競合分析、交通量調査、地域経済分析などの費用を大幅に削減できます。
これらの調査には通常数百万円の費用がかかりますが、買収により不要になります。

専門コンサルタント費用の削減

立地選定専門のコンサルタントや不動産鑑定士への依頼費用も削減できます。
実績ベースでの評価により、より確実で費用効率の良い立地確保が可能です。

機会損失の回避

競合参入による機会損失回避

立地選定に時間をかけている間に競合他院が先に参入するリスクを回避できます。
特に人口密度の高い都市部では、優良立地への競合参入リスクが高く、買収による迅速な立地確保の価値は極めて高くなります。

最適立地の確実な確保

「もっと良い立地があるのではないか」という迷いから解放され、実証済みの優良立地を確実に確保できます。
この確実性は、事業計画の精度向上と経営陣の意思決定負担軽減に大きく貢献します。

立地継承時の注意点

契約関係の確認

賃貸借契約の継承

既存の賃貸借契約条件が新所有者にとって有利かどうかを詳細に検討し、必要に応じて契約条件の見直し交渉を行います。

近隣との取り決め継承

駐車場利用に関する近隣との取り決めや、騒音防止に関する約束事などを適切に継承し、良好な近隣関係を維持します。

将来的な課題への対応

建物老朽化への対応計画

建物や設備の老朽化状況を正確に把握し、将来的な修繕・更新計画を策定します。
特に築年数の古い建物では、大規模修繕のタイミングと費用を事業計画に組み込む必要があります。

バリアフリー化の推進

高齢化社会の進行に対応して、さらなるバリアフリー化の必要性を評価し、必要に応じて改修計画を策定します。

まとめ

既存クリニックの買収による立地リスクの回避は、医療法人の事業拡大において極めて重要な戦略的価値を持ちます。
新規開設時の最大のリスクである立地選定の不確実性を完全に排除し、実証済みの優良立地を確保できることで、事業の成功確率を大幅に向上させることができます。

立地調査費用の削減、機会損失の回避、投資効率の最大化など、多面的なメリットを享受できる立地リスク回避効果を適切に活用することで、持続的で安定した事業運営基盤を構築できるでしょう。

医療法人の成長戦略において、この立地の確実性は他では得難い貴重な競争優位性となります。

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中村 弥生(なかむら やよい)

渋谷区の医療法人の事務長として、総務・経理・各種手続き業務を統括。
退職後、税理士事務所勤務を経て、2006年に行政書士事務所を開業。以来、医療法人専門の行政書士事務所として業務を行っている。
行政書士向けに「医療法人の行政手続き実務講座」を開講。
2025年1月、書籍「はじめてでもミスしない いちばんわかりやすい医療法人の行政手続き」を出版。

【実績】 医療法人の設立100件以上、定款変更300件以上。保健所、厚生局手続き300件以上。役員変更や決算届出等2,000件以上。

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